スコット・サムナー「日本に金融緩和は必要ない。日銀には金融緩和が必要だ」

  • 2017年12月29日投稿。

 

以下はロイター通信の記事。

先週の金融政策決定会合で、一部の日銀審議委員が、経済見通しの改善に応じて利上げやETF購入額の縮小を議論するよう求めていたことが明らかになった。

今年の日本の成長率は一部のエコノミストの予測を上回っており、企業収益の増加によって株式市場も回復していることから、一部の投資家は日銀が積極的な金融緩和を抑制すべきかどうか疑問視している。

宮崎浩氏(三菱UFJモルガン・スタンレー証券、シニアエコノミスト)は、「好調な株式市場に支えられて、消費支出は順調に推移しています。日銀の政策は金利に焦点を当てているので、日銀によるリスク資産の購入が疑問視されるのは当然のことです」と述べた。

経済は金融緩和を必要としていないが、中央銀行にはそれが必要という状況を見るのは、これが初めてだ。日本は数十年間のデフレを経験した。2012年以降の非常に低いインフレ率(年1%程度)でさえ、デフレ期の後には、人々の予想を上回るインフレ率として、拡大的な効果を持っていた。フリードマンの自然失業率仮説が予想した通り、日本の予期されない高いインフレは、失業率を自然失業率以下に押し下げた。現在の失業率は2.7%で、これは23年間で最も低い。

つまり、日本経済はフル稼働していて、金融緩和は必要ない。それでもなお、日銀は金融緩和をすべきである。なぜか?それには2つの理由がある。

1.日本は2%のインフレ目標を設定している。

ナポレオンが言ったように、ウィーンを獲得するために出発したのなら、ウィーンを獲得せねばならない。インフレ目標を設定したのなら、金融政策の信頼性を確立するために、それを達成せねばならない。もし政策が信頼されなければ、次の危機に対処することはずっと難しくなる。

2.多くの中央銀行と同様に、日銀は金融政策の手段として金利を用いるという愚かな決断をした。

金融政策の手段として金利を用いると約束した場合には、ゼロ制約を回避するのに十分なほど、インフレ率を高くする必要がある。ゼロ制約を回避するためには、日本のインフレ率は2%でも不十分だろうが、0%や1%よりは良い。

そのため、日本には金融緩和が必要ないのに、日銀は金融緩和をすべきであるという奇妙な状況が生まれている。そうしなければ、日銀が信頼性を失ったときに、日本は不況に陥る可能性がある。そうなれば、タカ派が避けたいと考えている、さらなる量的緩和と債券購入が必要になるだろう。なので、私から日本のタカ派へのメッセージはシンプルだ。後で多くの金融緩和をしたくないなら、インフレ率が2%で安定するまで、今のうちにもう少し金融緩和をしておくべきだ。

もっと良いのは、日銀の目標を名目GDP水準目標に変えることだが。